いまや必須!?マンションに災害用井戸
東日本大震災以降、人々の防災意識の高まり防災訓練の参加率や開催率は上昇し、防災グッズも売れています。住宅についても、リフォームや新規購入時に防災を意識する人の割合がふえていますが、一億総防災時代においては自然な流れといえるでしょう。対策はさまざまですが、耐震性や備蓄食料と共に「災害用井戸」が注目されています。飲料水の他に清掃用やトイレなど必要な水は大量に必要ですが、関東大震災当時は井戸が普及していたため水不足は起こらなかったと記録されています。現代ではどのような取り組みが行われているのでしょうか?ここでは、活発化するマンションと災害用井戸についての取り組みについてみていきましょう。
- 目次
- 1. マンションに災害用井戸は必要?
- 2. マンションに2つの災害用井戸
- 3. マンションと近隣との架け橋に災害用井戸
- 4. マンションに災害用井戸を設置ために必要なこと
- 5. 新築マンションにも災害用井戸
マンションに災害用井戸は必要?
一日に必要な飲料水は3リットルといわれていますが、マンションに居住している方が100人とした場合1日だけでも300リットル必要になります。掃除やトイレの問題を考えるとこれでも足りません。水の確保については場所や管理方法が難しく頭を悩ませている担当者の方も多いでしょう。しかし、災害時であっても防災井戸が整備されていれば保管場所や水質管理に労力を使うことがなくなります。たとえ数日水道が復旧しないような災害であっても、住民には十分に水を提供し、清掃も行えるので衛生的な問題もクリアできるでしょう。防災意識を高めるメリットや、通常時にも敷地の管理に使用することができ水道代を抑えるメリットもあり検討しているマンションも増えています。
マンションに2つの災害用井戸
防災功労者 内閣総理大臣表彰を受賞したマンションが兵庫県にあります。阪神大震災を教訓に、無理せず楽しくをモットーに自主的に防災を進めているこのマンションにも災害用井戸があり、2015年には第2号防災井戸が完成しています。1号は公的な補助は利用できなかったため、数年の議論を経て管理組合から費用を出しての着工でした。2つの井戸を掘ったのは近隣住民にも開放したいという願いと、仮設トイレを設置するために水源が必要だからという理由からです。トイレが足りないとトイレに行かなくて済むよう水分補給を最小限にし、その結果、血栓系の病気で命を落とされる方も多く、阪神大震災でも問題になっていました。実際に震災を経験された方も多く入居するこのマンションでは「もしも」の時の備えは身近な存在であり、水の大切さを通関しているからこその決断なのだと思い知らされます。
マンションと近隣との架け橋に災害用井戸
自治体によっては、災害時に井戸をボランティアで利用できる箇所を登録しています。災害で水道が復旧するまでの間、提供者の善意で近隣住民が利用させてもらう仕組みで、病院や商業施設の他に個人宅やマンションの登録もあります。マンションに居住していると町内会が別なこともあり、近隣住民との関わりや連携はあまり見られません。しかし、災害時においては基本的に助け合いが必要になり、近隣住民との連携も求められ、災害井戸がその架け橋になることが期待されています。
マンションに災害用井戸を設置ために必要なこと
井戸を設置するには自治体への届け出が必要です。防災井戸の指定を受けることで条件が緩和されることもありますが、下水代が必要な場合や揚水設備定格出力が設定される場合もあります。また、災害時に井戸を有効に使うためには、水質チェックについては必須で、自治体からも定期的に行うことを強く求められます。
新築マンションにも災害用井戸
この流れを見て、新築マンションの特色として売り出すデベロッパーも現れています。埼玉県のある新築マンションでは、一般的なマンションより1.25倍も強い耐震性や防災倉庫、災害用井戸が備えられています。周囲の平均価格帯よりも高値であるにもかかわらず、即完売の盛況ぶりをみせました。購入者の意見として「震災前は価格重視だったが、防災に目を向けるようになった」「防災について十分な説明を聞かなければ購入しなかった」といったことが聞かれます。地震大国日本において、ここだけは安全といった場所は少なく、誰にでも備えが必要です。災害時には電気よりも必要といわれる水の確保に井戸が選ばれるのは当然の流れなのかもしれません。
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